
倒したスケルトンが落とした魔石を拾いながら、合流したマーナさんにここに至るまでの話を語り聞かせ、鼻を天狗にしていた。
が、そこである単純な疑問が頭を過ったでのある。
「ところで何でユニは突然剣になれたの?」
「あなた、それを知らずに使ってたの……? でも、確かにそれは気になるわね」
「あ、あぁ~なんて言うか……なんとなくかのぉ……」
目を輝かせてその理由をユニに問うてみるが、彼女は目を泳がせて当たり障りのない回答で誤魔化した。
「なんだよぉ~水臭いぞ~? このこの~」
「けっ……寄るなオタク」
「うわ、シンプル言葉強っ……」
つい軽い気持ちで肘でユニたんをツンツンしたのだが、デレが一切ないツンツンな反応が帰ってきてしまった。
「こほんっ。ところでマーナはこんな所で何をしていたのじゃ?」
咳払いをして私から二、三歩遠ざかり、ユニがマーナさんに気になっていた事を問うた。
「あ、私も気になってた。採取クエスト専門みたいな事を昨日言ってたから」
二人でマーナさんをじーっと見ると、彼女は居心地が悪そうに洞窟の天井を見つめて、
「ま、まぁたまにはね。長く得物に触っておかないと、昨日みたいな時に体が動かなくなっちゃうと思って」
なんて至極真っ当な言葉を返してきた。
なんだか誤魔化されている感が否めないが、私の心はそのわかりみが深い返答に禿同した。
「あ〜わかるわ〜。感覚戻すのって結構大変なんだよね〜」
「それはゲームの話か?」
「そうそう、しばらくやらないと譜面忘れたり、次のコーナー忘れたりして大変なんだから」
「はぁ……もう変身してなくとも、お主の思考が段々わかるようになってきてしまったわい……」
「あはは……」
なんだか二人に呆れられてしまった。ありのまま生きているだけなのに、オタクって辛いね。
「あ、そうだ」
そんなくだらない会話をしている内に、魔循環されて消えていくスケルトンが目に入り、新米冒険者の私がダンジョンの割と深めな場所に来た目的をふと思い出した。
「実は私たち、最近スケルトンが狂暴化している原因を調査して来いってクエストを受けてて。マーナさん何か知らない?」
それは迷宮試験を合格し、ロビーでアンたちと話ていた時の事。
ダンジョンへ入る資格たる冒険者証を掲げて喜びの舞をしていると、アンが一枚の紙を差し出してきてこう言った。
「これ、多分祭莉ちゃんだったら大丈夫だから♪」と。
クエストの概要は『近頃狂暴化してテリトリーを広げているスケルトンの生態調査』。報酬は新たなスキルが習得できる装飾品。
まぁ例の如く紙に記されている文字が何一つ読み取れないので、全てアンから口頭で聞いただけなのだが。まぁいきなりボス討伐して来いとかじゃないからきっと多分メイビー大丈夫であろうと思い、クエストを即受諾。
とは言え、調査クエストなんて痕跡を辿って、見つけたら集めて、調査ポイントを貯めての繰り返しだろうと高を括っていたのだが、行き先に導いてくれる某虫さんがいないとそれもままならず、こうして肩慣らしも兼ねて見かけたスケルトンを蹂躙して回っていたというわけである。
「……あなた、なかなかにこき使われてるわね」
「いやぁそれほどでもぉ〜……え?」
「そのクエスト、ここ数日貼り出されてるけど誰も受けてくれないってアンが嘆いていたやつじゃない。でもこれの報酬ってたしか――」
「んなっ!? ま、まさか〜アンみたいな天使に限ってそんな事……」
あり得るはずがない。だってあの子は私の推しであり天使! そんな子がまるで私を嵌めるような真似を……
「いや、あの子結構腹黒いから気を付けなさい? 可愛い顔で相手を煽てるのはあの子の常套手段よ」
「う……嘘だッ!!!」
「っ!? 迫真の声じゃな……まぁ大分煽られて木に登っておったからのぉ。受けた以上は責任持ってこなすのじゃ」
「ま、それもそうだね。別に誰も受けなかったクエストでも、今日は冒険気分が味わえればなんでもいっか」
「ポジティブね……じゃあ一応先輩である私がダンジョンのあれこれを教えるわ」
「お、これはマーナが なかまになった! ってやつだね」
「よくわからないけど、そうね? じゃあとりあえず移動しましょうか」
そう言ってマーナさんは、ダンジョンのさらに奥へと歩き出した。
しばらく行ったら振り返り、私たちがちゃんとついてきているかを確認する様子が、まるでお散歩中のイッヌのようだとは、失礼だから言い出せなかった。
「祭莉? 今何か失礼な事考えていなかった?」
「いえ! 何も考えてません!」
バレてました。
◇
「うひょひょ〜〜! お宝だぁ〜〜!」
テンション爆上がり中の私の前には、ザ・宝箱が置かれている。
あれから少し歩きながらダンジョンについてなど、小難しい説明をマーナさんから受けていた私たち。
そんな話の中で、私が唯一興味関心を示したのが、何を隠そうトレジャーボックスについてだった。
なんでもこのダンジョンの探索が始まってから何千年も経っているにも関わらず、新しい宝箱が生成され続けており、中身もピンキリあるものの、それなりに良い物が入っているとかいないとか……。
これは探すっきゃないじゃん。という事で、クエストそっちのけでお宝探しがスタートして数分後。私のチャームポイントであるアホ毛に搭載されたお宝アンテナが示した先を調べていたら……本当に見つかっちゃった。
「うわ、こやつ本当に見つけおった。どんだけ金にがめついんじゃ……」
「がめつくないもん! ただ好きなだけだもん! で、これどうやって開けるの?」
発見した宝箱に近付いて錠の部分をよく見てみる。そこには鍵穴らしいものは見当たらず、代わりに宝石くらいの大きさの何かをはめ込めそうなくぼみが付いていた。
「宝箱の開錠には専門のスキルが無いとだめね。それにこのタイプはそれなりに……ってあなた何やってるの?」
「ここをこうして……こっちのダイヤルを回して……」
「え? なんでそんな所開けて――」
ガチャ――
「あ、開いた」
箱の左下に隠されていた鍵穴に、謎を解き進めて見つけた小さな鍵を差し込むと、そこから小さな紅い宝石が出てきた。
それを中央のくぼみにはめると気持ちいい開錠音が鳴り響き、宝箱の上部がひとりでに開く。
「え、えぇぇ……あなた一体何者なのよ……」
「何者って言われても、なんとなくやったら開いちゃった……的な?」
実際、直感と経験に基づいて手を動かしていたら開いてしまった。というのが正直な所で、それ以上の説明は特に無かった。
「祭莉って実は天性の冒険者なのかしら……?」
「そ、それほどでも~」
なんかよくわからないけど褒められるのは悪い気がせず、えへへと照れてみる。
昨日からやることなすこと褒めてもらえるから、普段枯渇しがちな承認欲がカンストしそうだ。
「マーナ、取り合わんでよい。どうせゲームか何かの入れ知恵じゃろ」
「仰る通りで……」
そうこれは好きなジャンルの一つである謎解きゲームでの定番の応用。
大抵こういった箱を開ける時はまず下の方を調べると最初のヒントがあって、それを辿って行けばその内謎が解けるものだ。
でもここまでセオリー通りなら、これで食っていこうかな?
「それにしてもすごいわ。このレベルの鍵は開錠師でも時間がかかるのよ? さ、中を見てみましょ」
「えへへ~」
「あんまりこやつを調子に乗らせるでない……」
呆れるユニと目を輝かせるマーナさんが見守る中、私は遂に宝箱の少し重い蓋をギギギと音を立てながら開ける。
「中身は~……って、なんじゃこりゃ?」
金銀財宝を期待していたのは私の目に映ったのは、いかにもな風貌の古紙だった。
破かないようにそっと裏返してみると、そこには見た者を小ばかにしたようなイラストと共に、大きな異世界文字で何か記されている。
「ねぇ、マーナさん……これなんて書いてある?」
「えっと……“はずれ”だそうよ」
「ふぅ~ん……イラッ」
なんとなく内容は予想はついていたが、それが事実とわかると今生一番の憤りを感じた。そう、言葉にするならば――。
「青乃祭莉は激怒したッ!」
右手に持った古紙を握りしめ、洞窟中に響きそうな怒声を轟かせた。
なんだはずれって! くじキャッチャーか!? これだけ凝った鍵なんだから中身ちょっとくらい豪華にしとけよ宝箱の方が高く売れるわ!!
「ま、祭莉……? あんまり大声出すとモンスターが来ちゃうから……!」
「お、落ち着くのじゃオタ……祭莉! って、ひゃあ!? もう囲まれておるッ!?」
私の怒号を聞きつけてか、はたまたこの宝箱がトラップだったのかは知らないが、辺りにはスケルトン数体が四方を取り囲み、臨戦態勢といった様子で剣を向けていた。
「ユニさん、剣ください――」
「け、剣じゃとッ!?」
「いいから早くッ!!」
「ひゃ、ひゃい――変化!」
ユニの方へノールックで突き出した空の右手に、程なくして剣の柄が収まってそれをぎゅっと握ると、そのまま前方へ駆け出して正面に立ち塞がるスケルトンの頭蓋を跳ね飛ばした。
カランコロンと転がる頭蓋骨を足蹴にし、怒り心頭の私はギロッと他のスケルトンたちに睨みを利かせる。
その内の一体、まぁただ一番近い所にいたスケルトンにこう問うてみる。
「次の相手はおまえか?」
「ギギッ? アガガギゴッ!?」
まるで「え、俺? ち、違いますッ!?」とでも言いたげに首をぶんぶんと振っているが、私に彼らの言葉は通じないのでこう解釈しよう。「俺に挑むってのか? お嬢ちゃんじゃ叶わねぇよッ!?」と。
「こいつなめやがって!!」
さっきと同じ要領で首に一閃するが、今度は不意打ちではなかったからだろうか、左手に持ったおんぼろの木製の盾によって防御されてしまう。
「ガガギゴッ! ギゴガガッ!!」
何やら周りのスケルトンたちに指示を出したようで、他のスケルトンたちもこの乱闘に参戦するようだ。
中には首を鳴らそうとしたり、拳を鳴らそうとするやつもいるが、骨だけのスケルトンなので当然鳴ってなかった。
「ちょ、ちょっと! 火に油注いでどうするの!? あぁもう、私も手伝うわ!」
後方に立つマーナさんも刀を抜き、背中を合わせてくれる。
「じゃあどっちが多く倒せるか勝負だね♪」
「なんでちょっと楽しそうなのよ! このバトルジャンキー!!」
「「「ガッギゴーッ!!」」」
半べそと言った様子のマーナさんがそう叫ぶと、スケルトンたちが掛け声と共に一斉に飛び掛かってきた。」
――それから数分後。
「はぁ……はぁ……終わった……のか……? もう何も切れる気がせんわ……」
「なんで……奥からわらわら出てくるのよ……」
「う、うぷっ……うえぇ……久々に暴れたからぎぼびばぶぃ……」
あの後、奥の通路から増援が現れて思わぬ激戦に途中から余裕が無くなり、私もマーナさんも倒した数のカウントなんてすっかり忘れて、一心不乱に敵を倒し続けていた。
数回深呼吸をしてようやく呼吸を整えると、むくりと起き上がって少し離れた所でへたり込む二人に歩み寄る。
「でも何で急にスケルトンがあんなにたくさん出てきたのかな?」
「そ……そんなの! お主が散々煽ったからじゃろうが!!」
「私のせい~? きっと近くにアジトとかあったとかじゃないの~?」
うつ伏せで横たわる頑張ったユニ様に、お背中をマッサージさせていただきながら冗談めかして適当な見解を述べてみる。
「そうだわ! きっと近くに親玉がいるのよ!」
「うわ、びっくりしたぁ」
と、マーナさんがぺたーんという状態から飛び上がり、スケルトンたちが次々と現れた奥の通路を見ている。
「あなた、スケルトンの生態調査でここに来たのよね? きっと近頃の狂暴化に関係があるわよこれは!」
「お、おう……やけに元気になったのぉ……」
「ほら祭莉、ユニ早く起きて! 調査再会よ!」
何故だか目がキラキラしだしたマーナさんは体を奥に向けて、しっぽをふりふりしていた。
その様はまるで――
「祭莉? また何か失礼な事考えていなかった?」
「いえ、滅相もございません!」
まだ心の中でも何も言ってません。
◇
「おぉ~……これはこれは……なんというか……」
「お、おう……これは……あれじゃな……」
「何よ二人とも煮え切らないわね。ボス部屋の扉じゃない」
「今期待値上げてたのに!」
「な、なんか……ごめんなさい?」
マーナさんに言われてしまったが、奥の通路を進んだ先には、剣の彫刻が刻まれた大きな扉が存在した。
その風貌はまさにボス部屋の扉。このエリアだけ松明の色が暖かなオレンジではなく、冷ややかな青で照らされており、否が応でも鳥肌が立ってしまいそうだ。
「どうする? 開ける? 開けちゃいます?」
「中の様子を確認して、原因がわかればそれを報告出来るんじゃない?」
「そ、そうだよね……お仕事だから行かないとね……」
一応ここへは仕事で来ているので、割り切って扉に手をかける。
「よし、精神統一したら開けるからね……ふぅ……」
様々な感情が渦巻いて荒波が立つ精神を、深呼吸で鎮めてゆく。
三回目くらいの深呼吸で私の精神は凪いだが、まだもう少しだけ、あとちょっとだけ、ほんのちょっぴり波が立っている気がするので、もう何度か深呼吸を繰り返してみよう。
「おい、まだかかるか?」
「待って! もう少しで、完璧な水平線が完成するから!」
大声を出したからだろうか、さざ波が立ってしまったではないか。
しかしながらまだ時間はたっぷりある。深呼吸……深呼吸……。
「もうじれったい子ね、私が開けるわ」
「あっ、ちょっ!?」
ゴゴゴゴゴッ――
重厚な音を轟かせながらボス部屋の扉が開かれてしまった。
「あぁ、やばやば!? って、あれ? ちょっとしか開いてない……?」
あんな大層な音がして開いた扉だが、本当に人が一人通れるくらいの隙間だけ開いた所で止まっている。
「あたりまえでしょ、別に大勢で突入するわけじゃないんだから」
「た、確かに……中は一体――ッ!」
扉の隙間に下からマーナさん、ユニ、私の順番でトーテムポールの様に顔を覗かせて、中の様子を伺う。
円形に広がった室内は、扉の外と同じく青い松明によって淡く照らされており、その最奥は薄暗くてよく視認できないが、巨大な“何か”がそこには確かに存在した。
「あれは……スカルエンペラー……!? どうしてこんな所に……」
「スカルエンペラー――つまり“骨の王”って事……?」
「直訳しただけではないか……しかしあやつはヤバそうじゃな」
揺らめく青い炎が不規則にスカルエンペラーを照らし出し、さっきまで戦っていたスケルトンとは比較にならない程に巨大で黒ずんだ骨。その頭頂にはくすんだ銀の冠を被っており、まさに名は体を表すといった感じだった。
両手には岩を荒々しく削ってり作られたような巨大な大剣を携えており、それは切れ味のある武器を入手できない関係上、斬撃よりも打撃に重きを置くスケルトンたちならではの力の証なのかもしれない。
「祭莉、あれはギルドの討伐隊でないと太刀打ちできないわ。一旦報告に戻りましょう」
「う、うん……あれは無理だわ。戦略的撤退を――ん……?」
そこまで言った所で私はある事に気が付く。
丁度スカルエンペラーの陰になっていて見にくいが、人が倒れているような気がした。
「ね、ねぇ……あそこ、人いない……?」
「えぇっと……ほ、本当だわッ!?」
「し、しかしわしらだけではどうにもできんじゃろ! ここは一旦引き返すべきじゃ!」
「そ、そうね……! ほら祭莉、行きましょう」
相手の危険度を冷静に判断し、撤退を決めた二人が扉から離れる中、私は逆に扉に両手をかけて――
「助けなきゃ」
と、答えて力の限り重い扉を押した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ――!!
「え!? あなた何言って――」
「二人は先に戻って助けを呼んできて! よし、開いた」
扉が完全に開き切り、依然最奥に佇むスカルエンペラーが私を確かに見ている。
視線を感じた途端、日常ではまず感じる事のない冷ややかな感覚に、全身に鳥肌が立ち、足が竦んでしまう。
これが所謂“殺気”というやつなのだろうか?
「ま、祭莉ッ!! 今すぐこっちに引き返して!!」
「無駄じゃよマーナ。あやつ前しか見えておらん」
叫ぶマーナさんの横に、呆れた様子のユニが肩をぽんと叩いて私の横まで歩いてくる。
「わしはここでお主にバリアを付与し続けるから、効果が切れる前に戻ってこい」
「え、ユニさん一緒に来てくれないんですか?」
「これから人っ子一人抱えようとしてるのに、わしがいたら邪魔になるじゃろうが」
「た、確かに……」
「よいか? あくまで戦闘ではなく救援が優先じゃ。無茶はするなよ」
ユニが私に向けて右手をかざすと、青雷によく似た淡い青の球体が私の周りを覆った。
これがユニの言っていたバリアだろうか。なんとなく知的好奇心がくすぐられて私は恐る恐るその淡い青に触れようとするが、寸手のところでバリアはフッと霧散してしまった。
「あ、言い忘れておったがそれは雷の精霊で作り出した高電圧の球体じゃ。触れると死ぬ」
「うぉあっぶねぇぇ!! そういうことは早く言ってよッ!!」
「触る前に止めたじゃろうが……ほれ、さっさと行け」
ユニが顎で私の進行方向を示して催促してくる。
「なんかそうやって命令されるとやな感じだけど……やるしかないよね」
依然ボス部屋の奥ではスカルエンペラーがこちらを見据えているが、動く気配は一切感じない。
もしかしたら探知範囲が広いから私たちには気付いているけど、ボスはボス部屋から出られないというお約束がこの世界でもあるのなら、倒れている人をここまで運べさえすれば成功する可能性が見えてくる。
「良いか? あくまで目的はあのデカブツを倒す事では無い。攻撃はわしが何とかしてやるから、お主はとにかく全力で走るのじゃ!」
「了解!」
ようやく心の準備が整い一応形だけでもと、最後にやったのがいつだったかも思い出せないクラウチングスタートの姿勢を取り、曲げた脚に力を込める。
「よ~い――」
陸上とかの動画だとこういう時曲げた脚を伸ばしていた気がするので、私もそれに倣って伸ばしてみるとなんだか早くスタートできそうな気がしてくる。
「――どんっ!!」
掛け声と共に地面を力強く蹴り、スカルエンペラーの足元で倒れ込む人影の元へ向かって駆け出す。
そんな私の姿を見てようやく決心がついたのか、マーナさんが前足で頭を掻きむしって踵を返して刀を抜く。
「あぁもう! どうなっても知らないんだから!」
若干の呆れを含んだ叫びを上げ、私の後を追ってボス部屋へと突入するのであった。
to be continued.